転職できる年齢は何歳までなのか、転職するか考えている人にとって年齢は気になる部分の一つですよね。
この記事では、転職の限界年齢説や転職者の平均年齢、年齢別の成功へのカギをまとめます。
結論的には、転職を考える・始めることは何歳からでも可能です。しかしその内情は様々ですので、その部分においても注目していきましょう。
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目次
転職の限界年齢説は本当？
転職において、限界年齢があるというのはよく聞く話ですよね。
果たして限界年齢説は本当なのか、それは何歳なのか、限界年齢への意識がどれくらい必要なのかを見ていきましょう。
28歳限界説
20代は自身の可能性を探す時期、30代～40代半ばが専門性を確立する時期、40代半ば以降は職業的地位の安定を築く時期というキャリア理論があります。
その視点だと、28歳前後で一度キャリアのことをしっかり考えるもしくは考え直す目安になるため、転職でも28歳限界説と言われることがあるようです。
しかしそれは転職の限界という意味でなく、一度キャリアを見直すべき年齢という意味で使われているものです。
転職市場を考えても、4年以上の社会人経験を積み、伸びしろが十分にある28歳前後はニーズも非常に高い年齢層になるためあまり心配はいりません。
また、キャリアにおける目安として転職をしない場合でも一度自身のキャリアを見つめ直すと良いタイミングでしょう。
32歳限界説
32歳転職限界説と言われている理由は、上司が年上になってしまう目安の年齢と考えられているためです。
新卒で入社した場合は、30代半ばにかけて役職につくことが多いため入社後に上司が年下になることを気にして、32歳までと言われることがあるようです。
しかし、最近は年齢を気にしない会社も増えてきており、あくまでもスキルや経験を重視する企業の方が多くなっています。
また、平均年齢におけるデータからもわかるように32歳前後は転職成功者が多い年齢層とも言えます。
転職を考える人にとってあまり心配する必要はないでしょう。
35歳限界説
一番よく耳にするのがこの35歳限界説ですね。
キャリアアップの時間が足りなくなってくる、基本的に上司が年下になってくる、体力的な衰えなど理由が諸説あり、35歳を境に転職成功率が下降の一途を辿るという転職市場の定説です。
「35歳の壁」という呼び名もあるほどで、新しい環境への適応力を懸念し35歳以上の採用を渋る企業が多くなってくるとされています。
しかし、労働人口が減る中で20代が減っていること、企業自体の人材不足傾向、即戦力ニーズの高まりもあり、35歳限界説はあてはまらなくなっています。
35歳以上でも転職に成功することは可能なのです。
転職成功者の平均年齢は？
転職に成功している人の平均年齢は、総合転職サイトのdodaによると
全体：32.2歳
男性：33.0歳
女性：30.5歳
となっています。年々の転職成功者の割合は上昇傾向にあります。
転職市場のメインが34歳前後の就業者と言われることもあるようなので、平均年齢としては30~34歳程度と考えるのが良いでしょう。
転職成功者の年代別割合
転職に成功した人の年代別割合は、総務省発表の労働力調査によると
24歳以下：約16％
25~34歳：約25％
35~44歳：約18％
45~54歳：約18％
55~64歳：約15％
65歳以上：約7％
となっており、やはり最も多いのは20代後半から30代前半です。
ですが、割合は違えどもどの年代の人も転職には成功していることがわかります。
また法律上でも転職に年齢制限はありません。
転職は若い方が有利なの？
転職に年齢制限はなくどの年代でも転職は可能です。しかしデータを見てもわかるように、転職では中高年層よりも若年層が多くなっています。
年齢と共に積み重ねてきたものがあるのに、と考えがちですが、若い方が有利だとされている理由もいくつかあるのです。
ではなぜ若い方が有利と考えられているのか、企業が求めているニーズは何なのかを見ていきましょう。
若年層が転職にしやすいとされる理由
20代を中心とする若年層が転職に成功しやすい理由としては
・ポテンシャルでの評価がある
・希望条件が複雑でない
・長期雇用でキャリア形成や教育が可能
などが挙げられます。
転職後に企業が自社で育成できることを前提とした評価軸や、家庭などによる複雑な希望条件がないことが主に成功しやすい理由です。
ですが、早ければ早いほどいいというわけではなく、新卒採用後すぐの転職などは継続力などへの疑いになるため避けた方が良いでしょう。
若手人材ニーズは顕在だが、専門スキルのニーズも増加
マイナビによる企業が求める中途採用者の人材調査において、もっとも高かったのは59.6%の20代~30代を対象とする若手人材層。
次いで56.7%で即戦力人材、33.9%で未経験でポテンシャルのある人材となっています。
この結果から転職市場において、“未経験でも将来の活躍が期待できる若手人材”の採用ニーズが企業で高いことは明確にわかります。
ですが、即戦力人材のニーズの高さからもわかるように専門的スキルを持つ人材を求める企業も増加傾向にあります。
専門能力・技術をもつ人材や自社にはいない技術を持つ人材などのニーズも高く、若年層ばかりが有利になるとは限らない状況にあるとも言えるのです。
企業のニーズと自分を照らし合わせて、転職に臨むことも大切なポイントと言えるでしょう。
男性では40代が転職で年収を上げている
転職の成功を年収アップと定義した場合、40代男性の成功者割合が高い、とも捉えられる結果がマイナビの転職者動向調査で明らかになっています。
転職で年収が上がった割合を性年齢別にすると男性の30代40代が4割越えという結果になっているのです。
実務の経験を積んだ30代40代のニーズが、年収額の増加として現れている様子がわかる結果になっています。
女性では20代が最も高く、次いで40代となっています。
限界年齢に囚われず、転職を成功させ年収を上げているという事例と考えることができるでしょう。
35歳以上の転職成功例
限界年齢説が正しいとは言えないことが上記からわかってきました。
そこで35歳以上でも転職に成功している人がどんな形で成功しているかを例示してみたいと思います。
・経営者が30代の子息に経営を引き継ぐため、まだ経営経験の浅い次期社長のサポート・指南役として、50代以上の経営幹部経験者として採用
・後継者のいない中小企業がM&Aによって承継されることに。40代～50代の人材を社長・取締役・CFOなどとして採用
・中小メーカーが製造現場の効率化の仕組みづくりや風土改革などを図るため、大手で生産関連の管理職を経験した人材を採用
・経営陣の若い企業が上場を目指すため、40代以上のCFOや社外取締役などを採用
これらは主にハイクラス転職としての成功例と言えます。
その他ハイクラス転職にこだわらずとも、スキルや経験を活かしたアピールは35歳以上の転職を成功させるカギになるでしょう。
【年齢別】転職を成功させるために
日本では雇用対策法の改正により年齢制限の禁止が義務化されており、転職に年齢制限はありません。
またこれまでで、限界年齢などもなく、どの年代でも転職が可能であるのがわかってきました。
しかし、年代に応じて企業にアピールすべきポイントやニーズは異なってきます。
何歳からでも転職を成功させるために、年齢別の対策を見ていきましょう。
20代前半
20代前半の転職は「ポテンシャル」が大切です。
18~24歳の転職では、仕事への姿勢や成長意欲、熱意などのポテンシャルが重視される傾向にあります。
成功のカギとしては、即戦力を期待する求人ではなく、第二新卒までを対象とするポテンシャル採用の求人を中心に応募することです。
20代前半は即戦力として判断してもらえないというケースもあるため、ポテンシャルをアピールできる方が有利に働くことも。
ポテンシャルを示すためにも、業務の過程で何を工夫したか・改善したかなども伝え、これまでの成長をアピールポイントにすると成功に繋がります。
書類に書くアピールポイントが見つからないと悩んでいる方は、まず小さくても自分の強みや成果、努力の経験を書き出して整理し、アピールに繋げると良いでしょう。
また、注意点すべきポイントは若さと経験の浅さを理由に、すぐに辞めるのではないかと思われるケースがあることです。
書類や面接では納得できる転職の理由や志望動機として一貫性のある理由を述べられると、採用担当者を納得させられるはずです。
20代後半
20代後半の転職は「ポータブルスキル」が大切です。
25~29歳の転職では、課題設定力や計画立案力、コミュニケーション力など業種や職種を問わず活用できるポータブルスキルがポイントになってきます。
数年の社会人経験を経ている人が多いため、メンバーとして業務を遂行する能力を示す必要があります。
加えて後輩指導などのリーダーシップも求められ始めるため、エピソードがあればアピールするとプラスになります。
注意すべきポイントは20代前半と比較して、ポテンシャル採用等が難しくなる傾向にあることです。そのため少しでも経験を生かせる求人への応募がカギになることも。
ただ実績を示すのではなく、具体的なエピソードを説明できるようにしておくことも大切なポイントです。
30代前半
30代前半の転職は「実務経験」が大切です。
30~34歳の転職は、即戦力として業務やプロジェクトを牽引する役割が期待されることも多いため、実際にどんな経験を積んだかをアピールできると良いでしょう。
ポテンシャルやポータブルスキルも評価はされますが、専門スキルやリーダー・マネジャー経験がある場合は転職先の会社にどう役立つか、論理的に説明できるように整理しておきましょう。
注意すべきポイントは30代に入ると、未経験職種への転職は難しくなってくることです。
20代との差別化を目指して、アピールポイントを考えていくことがカギになってきます。
30代後半
30代後半の転職は「リーダーシップ」が大切です。
35~39歳の転職では、スキルや経験に加えリーダーシップ、マネジメントの経験・意欲を示すことが重要になってきます。
チームやプロジェクトを牽引するポジションが増加する年代で、マネジャーとしてのスキルも求められるようになります。
マネジメント経験の有無に注意して求人を選ぶことも重要になってきます。
マネジャー経験がない場合は、マネジメントへの意欲や会社に貢献する意識をアピールし、自分のスキルや経験が確実に生かせる求人に応募しましょう。
マネジメントの経験がある場合は、業種が異なっていてもその経験をアピールできるため、幅広い求人への応募を検討することも可能になります。
40代
40代の転職は「企業への貢献」が大切です。
40歳以上の転職では、豊富な経験や専門スキルを活かして企業全体の課題解決、企業変革への貢献が期待されます。
即戦力はもちろん、人を動かし、企業価値の向上にどのように貢献できるかをアピールすると良いでしょう。
またマネジメント経験のみならず、自身の行動が会社や部署に良い影響を及ぼした経験は、積極的にアピールするよう意識しましょう。
注意すべきポイントは工夫したことなどの具体的なエピソードが重要になってくることです。
自分の経験を活かせる求人を探し、アピールポイントを考えましょう。
50代
50代の転職は「企業への貢献」に加えて「柔軟性」が大切です。
50代以上は採用担当者も含め多くの従業員が年下の可能性が高くなります。面接で尊大な態度を取ったりプライドが高いと思われるような発言をしたりすると、採用への道が遠のきかねません。
スキルや経験のアピールはもちろんのこと、それらを謙虚かつ誠実な姿勢で伝えることを意識し、応募先の企業が自分を雇うメリットもアピールしましょう。
また注意すべきポイントは、年収が下がるリスクがあることです。
ですが年収をキープすることにこだわりすぎると応募も難しく、転職活動の長期化にもつながります。
転職直後は年収が下がる場合もその後の勤務で元のレベルまで戻る可能性も大きいので、年収だけにこだわらず選択肢を増やすことが大切です。
年齢に関係なく転職できる業種とは？
年齢によってアピールすべきポイントや注意すべきポイントを出してきましたが、比較的年齢に囚われずに転職することのできる業界も存在します。
その業界・業種の特徴は何か、また職種ごとの転職年齢割合なども見ていきましょう。
転職しやすい業種の特徴
年齢に関係なく、比較的転職しやす業種の特徴は
・慢性的に人手不足の業種
・ポータブルスキルを重視し、活かせる業種
の二つです。
あてはまるのは主に専門性が低い業種であり、一般事務や接客・販売、営業、配送といったものが挙げられます。
また規模の拡大に伴って多くの人員を必要とするベンチャー企業や転職者を多く受け入れる中小企業もおすすめです。
転職しやすい業種の特徴
職種によって求められている年齢が違う場合もあるため、転職成功者の年齢割合を職種別に見ていきましょう。
dodaの調査によると、
20代の成功割合が5割を超えるのは、営業系や事務系、販売・サービス系が主です。
中でも販売・サービス系は6割越えを占めており、若年層が多いと言えます。
一方30代以上が5割を超えるのはコンサルタント・不動産専門職と企画・管理系の2つです。
この2つに関しては30代・40代以上の転職成功者の割合が高くなっていて、ニーズが30代以上に集まっていると言えます。
Uターン転職の適切な年齢は？
Uターン転職の適切な年齢は、20代半ば～30代前半くらいで、一般の転職で価値が高い年齢と合致しています。
30代後半や40代以降でも能力や経験、熱意によってはUターン転職できる可能性は十分あります。
大切なのは、これまでどんな経験を積みどんなスキルを持っているのか、どう企業に貢献できるのかという点です。
Uターン転職は結婚や子育て、親の介護などがきっかけで考える人も多いはずです。
スキルや経験のアピールに加え、どんなライフスタイルを望むのかを整理することで転職の軸を明確化し、求人を探しましょう。
また転職者の受け入れが多いのは、九州や北海道、四国、東北などの地方で、全国平均よりも高めです。U・Iターン転職を考えている人は、地方中小企業への転職が狙い目になるでしょう。
年齢に囚われず転職したい人におすすめの業種5選
ここでは、年齢に関係なく転職やキャリアアップが期待できる傾向の業種を紹介します。
転職はしたいけど不安だなと感じている人は是非参考にしてみてください。
IT業界
IT関連の職種は、コロナ禍の影響もあり、需要は急激に拡大しています。
これによりIT業界は全体的に業績を伸ばし、求人数も増加しています。未経験者歓迎の求人も多いため、キャリアチェンジにもおすすめです。
エンジニアのみならず、営業や事務系職を募集しているIT関連会社もあります。
実力主義の傾向が強い業界でもあり、資格取得などに励むと、年齢に関係なく昇進や昇給が期待できます。
介護・医療業界
介護業界・医療業界は常にニーズがあり、安定性を求める方におすすめの転職先です。
医療業界の医療事務や看護助手、医療機器営業といった職種であれば、無資格・未経験者向けの求人も多くみられます。
介護業界は高齢社会の現代で特に需要が高まっています。その反面、人手不足が深刻であることから、未経験者や年齢に関係なく転職しやすい業種です。
また仕事が過酷であるイメージも強いですが、その分、近年では国からの援助を受けている企業もあります。福利厚生や収入面でも安定・充実しているというのもおすすめの理由です。
運輸業界
市場の拡大に伴った宅配便のニーズが急増中の運輸業界ですが、ドライバーの人材不足など課題を抱えています。
そのため転職しやすい業種の特徴に当てはまっており、30代、40代でも転職しやすい業種です。
また発展が著しく、労働環境の改善が進行中の業界であることから将来性にも期待ができるでしょう。
製造業界
業界としてかなり幅広い製造関連ですが、工場のライン業務は未経験での転職にもおすすめです。
大手企業になると収入面や福利厚生も安定・充実し、残業も少ない傾向にあるといえます。
コロナ禍で製造業界にも一気にIT化の波が押し寄せたため、労働環境が改善した企業が増えているのもおすすめの理由です。
求人の数も増えているため、年齢に関係なく転職することも出来るケースが見受けられます。
販売業界
販売・接客の求人もかなり多い傾向にあり、飲食業や小売業でニーズの高い販売・接客職は、積極的に応募者を採用している企業があります。
また、コンサルや企画等の経験をもつ人は年齢に関係なく経験値と即戦力採用が期待できるため、おすすめです。
年齢に関係なく転職に成功する人の特徴は？
年齢別に転職を成功させるコツなどを紹介してきましたが、そこに関係なく良い転職を成功させている人には特徴があります。
・転職目的が明確に定まっている
・年収や待遇などの条件にこだわりすぎない
・事前準備がしっかりできる
・年齢を気にしすぎていない
これらの特徴を持つ人は、年齢に囚われず転職に成功できる人が多いのです。
年齢だけで油断したり悲観的になったりせず、前向きに丁寧に取り組みましょう。
またキャリアや能力だけに固執せず、書類は使い回さない、面接は必ず事前練習をするなど、応募先にあった準備がその都度できる人は転職が成功する可能性も高まります。
年齢別のアピールポイントと共にここにも注意をして、転職を成功させましょう。
転職と年齢の関係についてよくある質問
未経験の職種への転職は何歳まで？
年齢だけで判断する企業は減少傾向にありますが、長期的なキャリア形成の点から未経験職種への転職は20代が一つの目安と考える企業が多いです。
しかし、業界職種によっては年齢にこだわらず採用を行っているケースもあります。
30代以降での応募の場合は別の職種でも培ったスキルや経験、強みを転職先の仕事に結びつけてアピールしましょう。
年齢制限のある求人への応募で、制限を超えたら採用は無理？
求人の年齢制限はあくまで目安である場合が多く、制限を超えても応募できることも。
またその場合は、制限を超えていたとしてもスキルや実績、アピール次第で採用にされる可能性があります。
しかし年齢制限は長期的なキャリア形成や年齢構成の調節などの意図があるため、制限を大幅に超えている場合は方針に合わないとされる可能性が高いでしょう。
気になる際は、応募の前に人事担当者に年齢制限の意図や応募の可否を確認しましょう。
転職活動に限界年齢はあるの？
様々な説はありますが、転職活動に限界年齢・年齢制限は基本的にありません。
求人によって年齢制限を設けている場合はありますが、求人が年齢に厳しく制限をかけている求人は少ないでしょう。
自分の年齢を企業にニーズを見極めれば、何歳でも転職は可能です。
女性は男性よりも転職しづらいの？
女性は結婚・出産を理由に退職することもあり、採用されにくいと言われることがあります。
厚労省の調査によると、確かに女性は男性よりも離職率が高く、特に35歳を過ぎると入職率が低下しています。
しかし、近年の総務省の調査によると、女性の転職者数が男性より20万人以上多い年もあり、女性の社会進出が進む近年は転職市場における男女差も縮まってきているようです。
そのため、女性だからとあまり悩む必要はないと言えます。
まとめ
転職と年齢の関係、年齢別に成功させるためのコツなどをまとめてきました。
ここでわかったことは、転職に年齢はあまり関係がないということです。
しかし年齢が上がるにつれて、求められるハードルが高くなるのも事実です。
特に30代以上の転職では、スキルや経験がかなり重視されます。
自分がいかに企業が求める人物像に当てはまっているかをアピールして、キャリアアップを狙いましょう。